活躍する卒業生|建築・インテリア・家具の専門学校ICSカレッジオブアーツ

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卒業生インタビュー

Alumni interview

笹田遼太朗

インテリアアーキテクチュア&デザイン科 2015年卒業

ささだ りょうたろう/1989年生まれ、福岡県出身。2012年 福岡大学 建築学科卒業。2012年 ICS COLLEGE OF ARTS入学(卒業:2015年)。2015年 UDS株式会社入社

空間デザインの仕事の一端をリアルに感じられる場所

私は大学の建築学科を経てICSに入学しました。もともとインテリアや家具が好きで、建築を学んでいくなかでインテリアと建築は、それぞれ異なる視点で出来上がっているということを感じ、インテリアのことを専門的に学べる場を求めてICSに出会いました。ICSを選んだ理由は、インテリアデザインの実技の授業が充実していたからです。特に家具を自分の手でつくってみたいと思っていたので、勉強になったし楽しかったですね。
授業で一番印象に残っているのは、あるカフェチェーンの店舗をICSの学生たちで設計したことです。その時は、店舗で古くなって廃棄されることになっていた椅子を解体して、修理して、手を加えながらオリジナル椅子につくり変えていきました。コストや店舗の与件を考えながら、ブランドのコンセプトに合ったデザインを考え、企業の方へ直接プレゼンをするのは大変でしたが自分たちの描いたものが空間として立ち上がっていくことは貴重な経験でした。

神保町ブックセンター/2018

ICSでは、大学の授業と違ってノートを書くような授業よりも手を動かして図面を描いたり、アイデアを練ったりする授業が多かったのも印象的でした。CADやイラストレーターといった、仕事でも使われるツールに触れながら、店舗を始めとする空間づくりの過程をリアリティーを持って学べたのは、卒業後、設計の仕事にスムーズに取り組むことができた要因だと思います。また、同級生もデザインや建築を志して、様々な会社で活躍しているので、社会人になってからもデザイナーとして横のつながりがあるのは刺激になります。
今、私が所属しているUDSは、まちづくりにつながる企画、設計、運営を一気通貫で手がけており、ホテルや飲食店など数多く実績があります。私は主にインテリアや家具のデザインに携わっており、現在はホテルプロダクトを中心に行っています。プロジェクトごとに異なる条件を踏まえ、形にしていく仕事のプロセスは、規模は違えどICSで取り組んでいた授業の延長にあると感じます。加えてICSは現役で活躍しているデザイナーが授業をしてくれるのも大きい。先生によってデザインに対するスタンスは違うし、色々なデザイナーの考え方に触れることができます。また、ICSには様々なインテリアのマテリアルを集めたライブラリーがあります。学生時代はそこまで活用できていなかったのですが、今となってはもっとマテリアルに触れて学んでおけば良かったなと思います。デザインに関することに興味を持って、積極的に学ぼうとした分だけ得るものがある環境がICSにはありました。これからICSに入ろうとしている人には、先生たちの知識や、ICSに蓄積されているアーカイブを大いに活用してほしいですね。


城本栄治

インテリアアーキテクチュア&デザイン科 1992年卒業

しろもと えいじ/1968年生まれ、広島県出身。1988年 学校法人 広島県新庄学園卒業。1989年 ICS College of Arts入学( 卒業:1992年)。2001年 株式会社パーク・コーポレーション入社

新しい価値を生む発想力を鍛える

草木を「育つインテリア」ととらえ、植物と共存する空間をデザインするのが僕の仕事です。温室をイメージしたカフェや緑化した壁面に水が流れるオフィスなど、グリーンを感じることでそこに集う人の感度が上がり、コミュニケーションが生まれる空間を提案しています。これまで誰も手がけてこなかった領域です。
parkERsオフィス/2016

子どもの頃から、人と違うことばかりしてきました。広島の山間部の出身で、高校時代の夢は獣医。でも、その頃に雑誌で初めて触れたアートやカルチャーに夢中になり、自分を活かすのはクリエイティブな仕事だと思うようになりました。ICSを志望した動機は、造形の基礎から学べることでした。
ICS時代は、けっこう悶々としていました。発想力には自信があるけれど、なかなか形にすることができない。だけど妥協したくなくて、「これだ」と手ごたえを感じるまでアイディアを出し続けることを自分に課していました。暗闇の中で壁にボールをぶつけているような感覚です。延々と投げ続け、違う音がすると感じた時が正解だと思っていました。思い出に残っているのはスツールの課題。直径1センチの丸棒を何本も立てて根元を樹脂で固めるというアイディアでした。でも、失敗して作業室の床が樹脂まみれ。発想は先生に認められたのですが…。
その頃から一貫して考えているのは、人に面白いと思ってもらえたり、思わず笑みがこぼれるような感覚を大事にしたいということ。世の中に格好いいデザインはたくさんあります。でも、僕は格好いいだけでは物足りないと感じています。だから今も、プランターと一体になった照明や室内に水がわき出る装置を考えるのが楽しくて仕方ない。これからも新しい価値観をつくり続けていきたい。
ICSの教えで心に残っているのは、「休みの日は家にいるな」という言葉。外に出て、アートやパフォーマンスなど、とにかく良いものを観なさいというのです。クリエイターにとって、オリジナリティはたくさんの情報を得ることから生まれるはずです。でも、それはネットで拾えるような情報ではありません。実際に足を運んで感じるその場の空気や、人との出会い、気づきなどをたくさん体験することで、点でしかわからなかったことがつながって面になります。そんな実感を、仕事を通して得ています。


伊原 圭

インテリアデコレーション科 2016年卒業

いはら けい/1986年生まれ、秋田県出身。2009年 某金融機関入社( 退社:2014年)。2014年 ICS College of Arts入学( 卒業:2016年)。2016年 株式会社SIMPLICITY入社

社会とつながり、デザインの本質を学ぶ

デザインの道を志したきっかけは旅先のパリでライトアップされたオペラガルニエを見たことでした。見た瞬間に涙が溢れてしまって…。自分も人を感動させる仕事がしたいと思い、大学時代から興味のあったデザインを学ぼうと決心しました。当時は大学を卒業後、就職した銀行に勤めていたのですが、銀行を辞めICSへ入学しました。
ICSに入学した決め手は、現役の先生が多く、ずっと社会とつながっていられる場だと思ったからです。また、多彩な個性をお持ちの先生方から、視野の広い考え方を吸収できることを期待していました。僕は、学校で学ぶことはスキルではなく、デザインの本質であり、もののとらえ方、見方だと思います。だからICS時代は学内の勉強に打ち込んだのはもちろん、積極的に外とのつながりも持つように努めました。在学中にアルバイトやインターンとして通わせていただいた事務所は、6、7カ所に上ります。
その中のひとつが、いま働いているシンプリシティという事務所です。シンプリシティはICSに入る前から、心に響く、言霊が宿ったデザインをする事務所だと思っていました。通常は実務経験者でなければインターンとしても採用していないのですが、どうしても入りたくてポートフォリオを送り、何度も連絡して粘った末に、インターンとして受け入れていただきました。ある時、代表の緒方慎一郎さんが「我々は数百年先を見据えた仕事をしている」と話されたのです。「建築やインテリアとして残らなくても、考え方や文化として残る」と。以来、消化されるデザインだけはしないように心がけてきました。入学前に定めた大き な目標のひとつは、本当に尊敬できる人に出会うということ。僕にとって、緒方さんがまさにそうです。
櫻井焙茶研究所/2016

シンプリシティに入社して2年。飲食やホテルなど商業施設のインテリアデザインを中心に、展覧会の会場構成なども手がけてきました。現在はプロジェクトマネージャー兼デザイナーとして10件の仕事を並行して担当しています。その一つが、僕に大きな影響を与えたパリで進行中の大規模な建物。運命を感じますね。
ICSの2年間はその時にできることを100%やりきった感があります。寝る間も惜しんで課題に向かった日々でした。負けたくないという思いでインプットとアウトプットを繰り返した結果、今の仕事ができているのだと思います。


酒巻実波瑠

インテリアデコレーション科 2013年卒業

さかまき みはる/1992年生まれ、千葉県出身。2011年 千葉県立流山おおたかの森高等学校卒業。2011年 ICS COLLEGE OF ARTS入学(卒業:2013年)。2016年 株式会社スペースエージェント入社。

クリエイターとして自由な感性を磨く

2015年頃に「民泊」という言葉がよく聞かれるようになり、当時、私が所属していた不動産会社にも「民泊が可能な物件はありませんか」といった問い合わせがとても増えていました。その頃に民泊を紹介しているサイトを見ると、殺風景な部屋に布団があるだけの物件が多かった。そんな物件を見るうちに、民泊をインテリアコーディネートして、もっと良い空間にすれば付加価値が生まれるのではないかと考えました。会社を辞めて、民泊物件を取り扱っている会社に出向き、インテリアコーディネーターとして外注してみませんかといって売り込みに回っていたところ、現在所属しているスペースエージェントが声をかけてくれて、空間デザインの事業部を立ち上げることになりました。
スペースエージェントが運営している「民泊物件.com」は、民泊が可能な物件のみを探せる国内最大級のサイトです。そこで物件を探して民泊を始めようとする方たちは、当然、投資をできるだけ抑えて、効果的な民泊経営をしたいと考えている。だからコーディネートも低コストでありながら、華やかでカジュアルなものや、シンプルだけど印象に残るカラーリングなどを心がけています。また、物件ごとにできるだけ異なるコーディネートをしたいと思っていて、現地調査をして物件のある街の雰囲気やオーナーのこだわりを取り入れた空間づくりを意識しています。良いインテリアの民泊を増やしていくことで、民泊業界のインテリアデザインのグレードをちょっとでも上げていきたいという思いもあります。
高級マンションに花吹雪/2017

私は子供の頃から自分の部屋のベッドや机の位置を動かして、部屋の中でどう過ごすかといったことを考えるのが好きでした。高校生の時にインテリアコーディネーターという仕事を知り、いくつか学校の見学に行く中で、ICSへ入学を決めました。ICSを選んだ理由は、先生との距離感が近そうだなと思ったことで、入学してからもその印象の通りでした。卒業してからも先生にはパースやCADのことで相談したりしています。学生当時に私が提案していたデザインは、コンセプトで突っ走っていて、空間としてのメンテナンス性や機能性といった部分を度外視しているものが多かったのですが、ある先生が「実用性も大事だが、表現したいことを表現するのも大事」と肯定してくれたことで、そのままの勢いで学生時代を過ごしました。色彩や光のことなど、クリエイターとして活動する上で欠かせない知識や感覚を磨いていくことに重点を置けたのも大きかった。自分がよく分からない分野であっても、飛び込んでいってやりたいことを実現する姿勢を今も持ち続けているのは、ICSで自由な表現を後押ししてくれる環境があったからだと感じています。


荒井良太

インテリアマイスター科 2012年卒業

あらい りょうた/1991年生まれ、福島県出身。2010年 ICS COLLEGE OF ARTS入学(卒業:2012年)。2012年 株式会社ルーヴィス入社(退社:2013年)。2013年 株式会社アングロ入社(退社:2015年)。2015年 株式会社ルーヴィス入社。

自分で考えたことを形にして伝えていく力

私が所属しているルーヴィスという会社は、建築やインテリアの施工管理から設計・施工、また不動産部門や直営店舗の経営などを行っています。高校卒業後にICSに入学し、卒業後にルーヴィスに入社したのですが、2年ほど勤めてから、一度辞めました。その後の2年間、家具アトリエで働いて、またルーヴィスに戻ってきました。私はICS時代から家具が好きで、社会人になって建築関連の仕事をするうちに、やはり家具づくりに携わりたいという気持ちが大きくなり、家具製作やリペア、リノベーションなどを手がけるアトリエに入ることにしました。そのアトリエは依頼された家具をつくるだけでなく、オリジナル家具をつくっていて、憧れて門をたたきました。2年間、家具づくりに携わりながら、建築の仕事を外から見るうちに、また違った視点から建築づくりに取り組めるのではないかという思いが生まれ、もう一度ルーヴィスに入社させてもらいました。
弦巻の戸建/2016/設計:岸田佳晃/撮影:SHIMIZU KEN

私が最初にルーヴィスに入った頃は、まだ会社の規模は小さく、セルフビルドで空間をつくることも多かった。そのため大工仕事も自分でやる機会がありましたね。現在は施工管理をメインで担当しています。担当するプロジェクトは、建築家やデザイナーといった設計者から依頼される仕事が多いです。依頼を受けて、見積もりを立てて、施工の進行役として管理業務を行います。施工管理は自分では手を動かしませんが、現場で施工をする担当者に指示を出さなければならないので「こういう仕上げにしたい」ということを明確に伝えるためには、建築や仕上げのことを詳しく知っていなければなりません。同時に設計者のスケッチや図面から、何を求められているかを読み解く力も必要になります。浅い経験とは言え自分で施工を担当したことや、家具製作に携わっていたことが、施工管理でのコミュニケーションに活きていると感じます。
ICSを選んだきっかけは、高校2年の時に自宅がリノベーションした際、大工さんの仕事を見たことです。家の構造やつくり方が思っていたものと全く違っていて建築づくりに興味が湧きました。ICSのインテリアマイスター科は、ものづくりに特化した授業が多く、面白そうだなと思ったのが出会いです。最初の授業が「ひも椅子」づくりで、早速手を動かしてものづくりできるのが楽しかった記憶があります。その他にも、先生が日々の授業の中で教えてくれたものづくりのコツや、ものの成り立ちといったことは頭に残っていて、仕事をする上でも役に立っています。また、マイスター科は手を動かしてものをつくるだけでなく、自分でデザインをする機会も多い。自分で考えて、形にしていける環境は、真剣に取り組んだ分だけ、自分の糧になっていくと実感しています。


中村大介

インテリアマイスター科 2002年卒業

なかむら だいすけ/1979年生まれ、茨城県出身。1997年 茨城県立岩井西高等学校卒業。2000年 ICS College of Arts入学( 卒業:2002年)。2002年 special source入社。

アートとものづくりの境界を超えて

special sourceという僕たちの工房は、職人でデザイナーでアーティストでもある、かなりユニークな存在だと思います。仕事としては、設計事務所や個人のお客様の要望に応じて、オーダー家具や什器、窓やドア、階段などを制作しています。店舗のデザインを一から手がけることもあるし、時には施工まですることもあります。金属を扱うことが多いのですが、木など他の素材も使います。
それと並行して、工房の2階で月に3日間だけ開くギャラリーを運営しています。ギャラリーではオリジナルの家具や建具に加え、special sourceのスタッフ3人が製作したアート作品を展示しており、僕は木の彫刻を展示しています。アート作品は自分の中から湧き出る創造力から生まれ、プロダクトはお客様に寄り添ってつくります。アートの独創性がモノづくりに影響を与え、これまでしてきた仕事の経験や技術がアート作品に反映される。違う世界だけども、分かちがたく結びついている面白さを感じています。
special source atelier gallery[やまびこ展]/2016

今から思えば、ICSに入学した17年前から、こういうことがしたかったのかもしれません。高校を卒業して1年間、アルバイトをしながら音楽活動をしていました。次第にモノづくりへの関心が高まり、海外デザイナーが手掛けた金属製の椅子を雑誌で見て、「こういうものをつくりたい!」と思ったことがICSのインテリアマイスター科に入学した直接のきっかけでした。職人になるなら職業訓練校という選択もあると思いますが、僕はモノづくりをデザインから学びたかった。それができるのは、当時はICSだけでした。入学してすぐに、モノづくりの現場を知りたくて、金属のサッシや什器を製作している工房でアルバイトを始めまし た。そこで出会ったのが、special sourceの代表・モリソン小林です。小林の独立と僕の卒業の時期が重なり、以来ずっと一緒に仕事をしています。
ICSでは、最初の授業で教室の中に部屋をつくったことが印象的です。施工のしかたも、道具の名前や使い方も一から教えていただいたことは、卒業から15年以上経った今につながっていると思います。僕は自分を器用ではないと思っています。技術が未熟なうちは本当につらかった。でも、続けていれば必ずできるようになります。これからICSで学ぶ皆さんも、とにかく続けてほしい。そうすれば、つらさを乗り越えた先にある喜びを必ず手にできます。