日本の生活文化を伝える『NPO MIJPワークショップ』
ICS Festival 2015 ワークショップ
「ICS Festival 2015」で行われた、"日本の生活文化を伝える" をテーマとした「NPO MIJPワークショップ」。このワークショップは、我が校の卒業生であられる大先輩方がたずさわっている"NPO(特定非営利活動法人)メイド・イン・ジャパン・プロジェクト"とのコラボレーションで行われました。
「日本のモノづくり」について、何を教わり、また身につけられるのか楽しみにしながら多くの学生が参加し、留学生の姿も多く見られました。
▼NPO MIJPについてご説明をする、ICS卒業生で、クリエイター部会副部会長の森野 純一(もりの・じゅんいち)さん
第一部は、家具デザイナーの村澤 一晃(むらさわ・かずてる)先生による「道具観察ワークショップ」。村澤先生は、ICSの卒業生で、NPO MIJPの副代表理事を務めてらっしゃいます。
「デザイナーをめざす人が増える一方で、つくる人が減っている。つくる人を次世代に残していけるよう、10年先を活躍の場とする学生とともに、この問題を解決していきたい」と、活動の目的をお話しされました。本日は、先生が所有している古くから使われている手道具がいくつか用意されていました。これらの道具が何を語るのでしょうか?!
最初に、「これらの道具を5分間観察して、以下の3点を考えてみましょう」とのお題が。
・何の道具か?
・何で作られたのか?
・どうやって使うのか?
とてもシンプルな手道具が並んでいましたが、どう使うのか、すぐにはピンとこない様子の学生たち。触ったり、振ってみたり、匂いをかいだりと試してみます。
さあ、答え合わせが始まります。学生たちは、一つ一つ道具の名前や使い道、形の特徴などを聞いて、納得の表情!
先生が持ってこられた道具は、「肉たたき」「衣たたき」「灰ならし」「結いつげ」「薬ぬり」「ハエたたき」など。それらは全て、手の延長で使われるための拡張機能を備えており、それぞれのカタチは表層(ひょうそう)的なものではなく、必然性があるそうです。
何かをたたくための道具だけでも、たたく物が違うと硬さやしなやかさ、重さが変わって色々種類がありました!
他にも、昔よく使われていた道具やあまり売れなかった商品などを画像で紹介してくださいました。「米洗い器」は、"米はとぐもの"という考えなのかあまり売れなかったとのお話し。国や地域、文化や時代でまったく違う道具が生まれ、また、生活習慣が変われば、使われなくなるモノ、新しく必要とされるモノも生まれていきます。
◀︎昔の商品「米洗い器」
最後に、「なぜそうあるべきなのか、目の前にあるものをよく観察して、つくり手やモノの在り方を大事にしていくことが、次の産業につながる」とお話ししてくださいました。
なるほど。身の回りのモノをもっと観察する習慣を身につけることが大切ですね!
第二部では、NPO MIJPの三重支部準備室代表で、左官職人の松木 憲司(まつき・けんじ)先生をむかえて、「左官体験」のワークショップが行われました。テーブルの上には、左官の素材や道具が置かれていて、ワクワクします!
▼天然の土が美しく並ぶ。わらや貴重なクロハギンナンソウもありました
まずスライドを見せながら、左官のお仕事について紹介してくださいました。
本来、材料を組み合わせるのが左官の仕事だが、現在は工場でミックスされた商品から選ぶことが多いとのこと。材料として、土以外には稲や麻などの繊維(せんい)質、砂や海の海草など、地球上にある全ての素材が材料になりえるとおっしゃっていました。それらの材料をまぜて、土壁に使います。
土壁は、雨風をしのぎ、耐火のために漆喰(しっくい)を上塗りしていました。健康やリサイクルにも適した素材です!
▼スライドでは世界中に分布する、土壁の建築物をご紹介いただきました
▼先生がお持ちの左官道具は250本以上も!右は、子供たちとの土のワークショップの様子です
では実際に土に触れてみましょう!ということで、本日は、壁を左官するように仕上げた時計をつくります。
▼デザインを考えながら、松木先生が持ってきてくださった材料をそれぞれ組み合わせていきます
デザインのヒントをいくつかいただきました。キーワードは、マスキングテープ、砂、だそうです!
▼こちらは、インテリアマイスター科の学生たちです。さすが、一番作業が早かったです!
▼左の紙皿が左官の材料の配合です。カレーライスみたい!?マスキングテープも上手に使っています
▼配合によって、乾燥時間がマチマチ。時間の限り、アイデアを加えて好みのデザインにしています
松木先生は、国内から海外まで土のワークショップを開催されていますが、土の持つエネルギーには、人をひきつける力があると常々感じているそうです。本日参加した学生もその魅力を感じてか、さわやかな笑顔で作品を作り上げていました。NPO MIJPの皆様、本日は良い機会をくださり、ありがとうございました!
担当:事務管理室 GE