オーストラリアの大学生とワークショップ!
オーストラリア・パースにある大学、Central Institute of Technology(以後CIT)の学生とICS校舎にてワークショップをおこないました。
今回のワークショップは、CITの学生が東京にある敷地、ICSの学生がパースにある敷地で、バー/カフェのインテリアデザインを即日設計。文化や環境を考慮し、互いの国を敷地に設定した設計をおこなうことで意見を交わしあい、交流を深めるというものです。
参加した学生の名前の紹介からスタートし、先生から互いの学校についての紹介をしていただきました。
CITはいくつかの学科があり、クリエイティブ アート学科はインテリアデザインをはじめ、音楽やファッション、カメラなどさまざまなコースに分かれているそうです。
パースについて、CITの学生がスライドを使い紹介してくれました。
気候や特徴、有名な建築物・アート、CIT大学の校舎などさまざまなシーンの写真を見せてくれました。その中には、パースで有名な動物だという「クオッカ」の姿も。カンガルー科の小動物だそうです。
続いて、今回のワークショップ課題についての説明。
東京の敷地は、ICS副学長マニュエル・タルディッツ先生が共同主宰されている建築設計事務所「みかんぐみ」が設計をおこなった「マーチエキュート神田万世橋」。
パースの敷地は、サウスパース・メンズストリートにあるイタリアンレストラン。
周辺には、広い公園や動物園があり、目の前の通りはヨーロッパ風の緑道になっているそうです。
CITの学生7名とICSの学生7名がそれぞれ2チームに分かれ、計4チームで課題に取り組みました。
2つの学校で制作の進め方が全く違っていました。
CITチームは、イメージに近い空間や家具の写真を探しボードにまとめたり、パースを描いていました。デコレーション寄りのアプローチです。
ICSチームは、キーワードや方向性を話合い、模型を作り空間構成をおこなうという、建築的なアプローチの仕方をしていました。
合間の時間にコミュニケーションをとる場面も見られました。
物価の違いについて話していました。オーストラリアは物価が高いそうです。
スケジュール的に昼食の時間を取ることができず、各自合間を見て食べることになっていたのですが、CITの学生は教室でサンドウィッチを作っていました!豪快ですね(笑)。
ICS学生の作品を見てくれていました。学生の作品も東京の街並みも、さまざまなテイストの建物があり、コントラストがあって面白いと言っていました。
約5時間の制作時間を終え、各チームによるプレゼンです。
CITチームA。
鮮やかな色を使い、奥に進みたくなるようなパターンのフローリングにし、天井をミラーと木を使った多面体で構成しているのが特徴のデザイン。
家具は、透明感のある軽い印象のものを用い、春をイメージしているそうです。
天井のミラーは、空や街並み、人、食べ物などさまざまなものをキャッチできるように配置。食べ物や飲み物を色として捉えているというのが印象的でした。
ICSチームA。
川辺でサンセットが望める、動物園が近いなどの周辺環境から、カップルとファミリーをターゲットとし、カップルとファミリーが混じっても気にならないデザインを考えたそうです。
既存のファサード(建物の正面をなす外観)がアーチ状の開口部(窓・出入り口・換気口など外部とつながっている部分)であるのを活かし、開口部から室内の奥まで延びるガラスのトンネルを配置し、視線は通るが別の空間となるよう演出しています。
ファサードの前にもトンネルを用いており、通りから中が見えないようになっています。このことに対し、オーストラリアでは外と中を断絶しないデザインが多く、中間の空間を楽しむことが多いとの講評を受けました。
CITチームB。
日本のマンガ文化、近場の国際フォーラムを意識したデザイン。
エントランスから奥のコートヤードまで椅子が続いている構成にしており、天井に木材を用いて奥行き感を出しています。つながった空間を照明によって、エリアの違いを表現。
床は、コンクリートの上にイラストなどのグラフィティを描きマンガ文化を表現し、テーブルの天板をガラスにすることでグラフィティが見えるようにしているそうです。
木材との関係を考慮し4色をメインカラーに設定しており、家具やイラストに用いています。
国際フォーラムを真似る必要性やどのようなイラストを描くか注意が必要との講評。女性らしいイラストや子供らしいイラストを用い、エリア分けするなども考えられるという意見もありました。
ICSチームB。
このチームはより建築的な視点でアプローチしています。
既存の建物は2階建てで、今回は1階部分の改修でしたが、2階の窓との関係性を考え2階の窓に合わせた開口部のデザインを考えていました。
また、1階部分の天井高が5メートルもあり、高さのある空間だったことからロフトを作り、空間を豊かにすることを提案。ロフトに上がるための階段に座ってくつろいだり、ロフトの淵に座り込むなど自由な空間の使い方をイメージしているようです。
ファサード前のスペースの使い方や素材・家具・色彩については手が回らなかったようで、「翌日までに考えてきて」と言われていました(笑)(ワークショップはこの日だけです)。
先生方や学生たちも課題の進め方の違いに興味があったようで、プレゼン後ディスカッション。
ICSの学生は、自分たちは今回のようなリノベーション課題の時、外からの見え方から考えてしまうが、カフェなどの空間を提案する場合は内から考えたほうが伝わりやすいと感じたようでした。
CITの学生は、時間に余裕があればスタディ模型・空間構成から入るが、今回は時間が限られていたためマテリアルや家具に重点をおいた進め方にしたと言っていました。
今回、ICSの学生は敷地を見ていないこともあり、空間を想像する意味でも模型の制作という進め方になったのだと思う。インテリアデザインは、マテリアルや家具を選ぶだけではないので、3Dモデルからデザインしていくことも良い方法だと思う。などの意見もありました。
お互いのやり方を上手くミックスした進め方が出来ればベスト!ということで、話がまとまりました。
最後に集合写真。
1日限りのワークショップでしたが、みなさまおつかれさまでした!
広報室 飯泉