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根岸 正典 建築家

根岸 正典
Masanori Negishi
建築家
「日々の生活」はデザイン足りえるか。

インテリアアーキテクチュア&デザイン科第5期生。1948年愛知生まれ。
1969年にICSを卒業。
網戸武夫建築設計事務所を経て、1982年根岸正典+コンパススタヂオを設立。1998年根岸正典・計画工房に改称、現在に至る。
代表作に「初声の家」「葉山」

 

 ICS草創期に学んだ一人が根岸さんだ。多くを語らず、静かな迫力を感じさせるのは、長身や髭のせいではないはずだ。若い頃の元気は、当時を知る人のあいだでは有名なようだ。卒業から30年以上経った今、「まだ建築に専念したいから」と我が道をマイペースで行っている。

湯どの庵/客室
湯どの庵/客室
湯どの庵/中庭に面したパブリックのリビング
湯どの庵/中庭に面したパブリックのリビング

 「山形県の古い温泉旅館を再生するという仕事です。オーナー曰く、一時は閉館も考えたとのことですが、全面改装による既存のイメージを払拭するインテリアデザインと、新しい運営システムの採用によって、『湯どの庵』はリニューアルされることになりました。木造棟は大正時代に建てられたもので80年以上、客室棟であるRC部分も30年以上経っていると思われます。

 クライアントの考える、新しい湯宿のありかたをどう実体化するかが問われました。既存部分を極力生かしつつソフト、ハード共、過剰を避け、軽視されがちだった客のプライバシーを大切にし、シンプルな心地よさを目指したものです。
 オーナーの言葉でいえば、『何もしないでも楽しかったといわれる旅館』ということです。

湯どの庵/メインダイニング 湯どの庵/ホールの一角
湯どの庵/ホールの一角
湯どの庵/渡り廊下
上:湯どの庵/メインダイニング
下:湯どの庵/渡り廊下

 この仕事はICS時代の1年後輩である、岩倉榮利プロデュースに依るもので、建築、インテリアを私が担当したものです。卒業以来30数年、酒席で顔を会わせたことは数知れず、しかし供に仕事したのはこれが始めて。たまには真面目もいいものです。まあ持つべきものは(悪)友と言うことでしょうか。

 明確な目標もなく、なんとなくデザインに興味があるというだけで入ったICSですが、その小さな塾のような学校で2年間学び、それ以来今日まで30年以上なんとか飯が食えたのだから、不思議といえば不思議だ。仕事は住宅の設計が大半を占めますが、結局『日々の生活』はデザイン足りえるか、ということを考え続けているように思います。」

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