岩倉 榮利 家具デザイナー

根岸 正典
Eiri Iwakura
家具デザイナー
物は壊れるけど、人は壊れない。

インテリアデザイン科第6期生。1948年 福島生まれ。
1981年「ロックストーン」を開設。
1985年 岩倉榮利造形開発研究所を設立。
以来、家具デザイナーとしての活躍はもとより、PPMコーポレーションを設立し、プロデュース活動にも取り組む。

 

 家具をデザインするデザイナーは大勢いるが、家具デザイナーと名乗るデザイナーはそう多くはない。岩倉さんは、家具デザイナーだ。そして、自らのブランド「ロックストーン」を育ててきた家具のデザイナーズブランドの草分けでもある。ロックストーン20周年の折に発刊された200ページの分厚い家具カタログ。作品集ではなく、カタログというところに価値があると思う。岩倉さんの家具デザインは、世の中に息づき人々とつながりを持った、生きているデザインだ。

楽風庵 オケージョナルチェア
楽風庵
オケージョナルチェア
ロックストーンのカタログ「PRODUCT」2004年刊
ロックストーンのカタログ
「PRODUCT」 2004年刊
ロックストーンのカタログ「PRODUCT」2004年刊
KABUTO
ブライウッド サイドチェア

 「去年、故郷の福島美術館が、私のデザイン展を開いてくれました。30年やってきた仕事の中から30本の椅子を選びました。そのとき、自分がやってきたことを振り返る機会が持てて、ふと気が付くと、自分は10年を区切りにデザインに取り組んできたんだなと思いました。

岩倉 榮利ポートレート写真

 最初の10年は『学びの10年』でした。地元のデザイン学校である郡山デザインセンターで、小泉庄吉先生にバウハウスの基礎を教わった。デザインを学んだ2年間でした。その後、ICSでは、インテリアを2年に渡って学び、卒業後は、現在武蔵野美術大学の名誉教授をされている島崎信先生のもとで5年間、家具を学びました。

 35才の時に、渋谷パルコで家具ブランド「ロックストーン」を発表するチャンスに巡り会うことができました。『ロックストーン立ち上げの10年』の始まりでした。この頃のデザインは、鉄とかアルミとか金属が多かった。意図的にシャープでクールなデザインをしていました。フォルムへのこだわりというより、素材の生かしかたと椅子の機能とか役割を考え抜いた結果です。

 本当は、木が好きだったのかな。ロックストーンを始めて10年後に、旭川のインテリアセンターでスリットという1脚の木の椅子をデザインしました。これを契機に、『木の椅子の10年』が始まりました。本当に好きな女の子がいると、簡単には声がかけられないのと同じで、木とは距離をとって機が訪れるのを待っていた感じです。飛騨高山の家具メーカーとの共同ワークで、高山ウッドワークスというブランドづくりに取り組んできました。木という素材に挑み、職人と向き合ってのもの作りに体当たりで取り組んで、徹底した日本の家具作りをやってきました。自分の足元をとことん掘り下げていった10年だと思います。

Takayama Wood Works カフェチェア
Takayama Wood Works
カフェチェア
KAMUI 2シーターチェア
KAMUI
2シーターチェア
Takayama Wood Works イージーチェア
Takayama Wood Works
イージーチェア
KABUTO コードバン アームチェア
KABUTO
コードバン アームチェア

  こんなふうに積み上げてきた結果だと思うのですが、いま始まった新しい取り組みは、世界に発信するデザインです。コスガというメーカーをパートナーに得て、フィリピンのセブ島を生産地とするグローバルな家具シリーズ『楽風庵』の開発に取り組みはじめました。どんな答が出るかは10年経ってみれば分かることですが、今、デザイナーとして何がしたいのか、そういうビジョンは持ち続けてデザインをやってきました。

岩倉 榮利ポートレート写真

 自分自身に言い聞かせているのは、焦るなということです。チャンスは誰にでも巡ってくるもの。そのチャンスに出会った時に一気に力を出して10年間くらい燃え続けるくらいのスタミナを維持して真剣にデザインしてみよう、ということです。そして答は、10年20年経って、ようやく見えてくるものなのです。

 それとデザインは、一人で籠ってするものではないということです。必ず、パートナーがいました。ロックストーンの立ち上げのときには、私は自分自身の中にあるモダンデザインと向き合っていました。高山では、木という素材、そして頑固で腕のいい職人がパートナーでした。これからの10年は、日本人である私が、日本にないアジアの文化、アジアの人とつながって、国境を越えたデザインをやっていこうとしているところです。

 物を作ってきて、デザインというのは突き詰めれば、人と人のつながりを作ることかな、と思うことがあります。たとえば、3年掛かりで作り上げた最終試作でも、場合によってはダメにしてしまうこともあるのです。3年間の形がなくなってしまう。でも、物は壊れても、一緒に作ってきた人との関係は壊れない。だから、また新しいデザインに行けるのだと思います。」

URL:http://www.kurahaus.com/e_iwakura/

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